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2006年8月13日 (日)

【お役所論】和歌山県と市町村、庶務を一括へ

13日付けの朝日新聞で、和歌山県と県内の全30市町村が、重複する庶務事務を共同で処理する「総務事務集中処理機構」を設立する方針を決めた、との記事が出ていました。

給与計算システムの共有化や物品の共同購入等で、初年度約11億円のコスト削減を見込めるとしているそうです。各自治体から費用と職員を出し合い、07年度中に機構設立を目指しているのだとか。

こうやって、共通する事務や事業をまとめて効率化・合理化しようとする案は、おそらく何度も議論されてきたことかと思います。スケールメリットが出るので、当然費用が安くあがるわけですから、財政難の自治体、特に規模の小さな市町村にとってはメリットが大きいでしょう。また、コストが削減できれば、浮いた予算を、住民サービスに直結する分野に回すことができるようになる、との期待感もあります。実現されれば、かなり画期的なことだと思いますので、ぜひうまく軌道にのせてもらいたいなあ、と注目しています。

しかしながら、ここで役所の現実を踏まえて考えてみます。

まず、異なる自治体間での事務の共有化というのは相当困難です。それぞれの自治体が異なる給与体系を持っていて、異なる運用をしています。また、物品購入に関しても、それまでのお付き合いとか、地元の業者さんを使いたい、とかのしがらみもあるでしょう。このあたりは、職員組合と地元議会の同意をどのように得ていくか、が問題になりますね。

例えば、給与であれば当然、オープンにできない運用も存在しているはずです。条例や規則に書かれていない「ヤミ手当」とか「わたり昇給」とかいうものですね。給与計算システムを共有化しようとすると、このあたりの制度を全てオープンにしていかないといけません。職員組合としては、勤務条件の改悪は許さん!という主張を行いますので、ヤミであろうが何であろうが、既得権益の確保を最重要課題にするものと思われます。システムづくりのために、既得権益が侵されるなんてことは断じて認めない!ということになるのです。

また、物品購入なんかも、それまで付き合いのある地元の業者さんを使い続けたい、というのが自治体の本音でしょうね。なぜなら、地元の業者さんは地元議員とつながっている場合が多く、そういう議員は地元への利益誘導しか考えていないので、「地元に業者があるのに、なぜ他の市町村の業者を使うのか?」みたいな質問を平気でやってきます。役所の人間は、そういう議員の対応をしなければなりません。

次に、浮いた予算を住民サービスに回すことができる、という点ですが、これはおそらく無理でしょう。ただでさえ財政難の自治体がほとんどで、財政担当課は、とにかく予算の削減しか考えていない、といっても言いすぎではありません。つまり、住民にとって良い施策、必要な施策に予算を投下する、というのではなく、いかに支出を抑えるか、の観点しかないとも言えるのです。

ですから、和歌山の取り組みがうまくいったとしても、各自治体でコストが削減される→住民サービスに振り分けることができる、というのは甘い考えだと思います。浮いた予算はそのまま赤字の穴埋めに使われるだけで、それを新規事業に配分するなんてことはあまり期待できないでしょう。

私も現役の公務員で、いろんな事業を担当し、予算のことにも少しくらいは携わってきましたが、こうやってコスト削減のためにいろいろなことを試すのは良いことだと思います。しかし、公務員にモティベーションが働かないのは、前述のように、せっかく色々と知恵を出してコストカットし、それを新たな事業に転用したい、と思っても、浮かせた予算は全て財政担当課に召し上げられてしまうのですね。

家計と一緒で、食費や光熱費を節約して、その浮かせたお金で旅行に行こう、というのであれば節約もできると思います。でも、節約して浮いたお金は全部税金として召し上げるから、税収増やすために食費を節約してくれ、と言われても無理ですよね?

とはいえ、和歌山の取り組み、非常に注目しています。議会や職員組合の抵抗はどうなのか?削減されたコストで、あらたにどのような住民サービスが可能となったのか?同じ役所の人間としていろいろと興味があるところですね。私の職場でも、もっともっといろんなことしていかないといかないと思います。

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コメント

まるこ姫さん、こんばんは!
全然暴論じゃないですよ。
役人に危機感がないのは、倒産・解雇の危険性が
ないからですね。
たとえ財政再建団体になったとしても、
起債(借金ですね)の制限を受けたり、
国レベルを超える独自事業をカットされたり、
(予算の上で)国の管理下におかれたりするものの、もちろん身分は残るわけですし、自治体自体も残るのですから、
危機感を持つ職員は極めて少ないですね。
「私が借金して再建団体にしたんじゃないから関係ないし」
みたいな意識が多数派でしょう。それどころか再建団体になったせいで、仕事がやりにくくなったとか、不平・不満を言う職員が多数いそうです。
また、いくつか役所論を書きますが、
まるこ姫さんが思うように、
「時代にあった制度になんでならないのか?」
という疑問は、素朴で、かつ、核心だと
思いますよ。


投稿: てっけん | 2006年8月14日 (月) 00時42分

こんばんは~

暴論かもしれないけど、民間は最終的には倒産するかも
知れないけれど、公務員はそれが無い。
危機感が薄いのでは無いでしょうか?
もっとも、今では夕張市のように再建団体予備軍が、うじゃうじゃ
あるそうですけど。

組合も、改革の邪魔のばかりしているし。
本気で自ら身を削る意識ってないでしょ?

民間は会社が倒産の危機にあれば嫌でも、給料ボーナスカット
下手をすれば首にもなるわけだし。
身分保障がある公務員はやっぱり、有利ですよね。

時代は変わっても特権があるってことも不思議だし。
時代にあったような制度になんでならないのだろう。

投稿: まるこ姫 | 2006年8月13日 (日) 22時16分

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